ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
作品情報
Harry Potter and the Order of the Phoenix
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2007年7月20日(金) サロンパス・ルーブル丸の内ほか、
国内史上最多920スクリーンにて全国超拡大ロードショー
映画情報 映画館情報 ダニエル・ラドクリフ来日記者会見(映画解説あり)
ファンタジー・アドベンチャー/アメリカ/2時間18分
配給:ワーナー・ブラザーズ
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ハリー・ポッターはホグワーツ魔法魔術学校の5年生になる日を心待ちにしながら、長く孤独な夏を耐えていた。底意地の悪いダーズリー一家と一つ屋根の下にいるだけでもつらいのに、クラスメートはおろか、親友のロン・ウィーズリーやハーマイオニー・グレンジャーからも便りがない。それどころか、ヴォルデモート卿と対面したあの日以来、ハリーに話しかけてくる者は誰一人いないのだ。
ようやく一通の手紙が届いたが、楽しいことが書いてあるわけではない――それは、ホグワーツから除籍されるという通知だった。除籍の理由はホグワーツ以外の場所で、しかも魔法の使えない“マグル”の前で、魔法を行使したこと。この場合のマグルとは、いじめっ子のいとこ、ダドリー・ダーズリーである。ハリーとダドリーは2人組のディメンター(アズカバンの看守で吸血鬼)から奇襲を受け、ハリーはやむなく応戦した。いわば正当防衛だ。
ハリーが自己弁護できる唯一の機会は魔法省で開かれる尋問会だが、それも魔法省の大臣コーネリウス・ファッジがおしるし程度に開いたものだ。ファッジは密かにハリーの永久追放をもくろんでいたが、あいにくハリーは無罪放免になった。これもホグワーツの名校長アルバス・ダンブルドアのおかげである。ところがホグワーツに戻ったハリーは、今までになく居心地の悪さを感じる。どうやら魔法界の住人たちは、ヴォルデモート復活の一件をハリーの作り話と信じ込んており、ハリーの人格を疑っているらしい。
孤立無援におちいったハリーは不吉な夢にうなされるようになる。もっと悪いことに、いちばん頼りにしてきたダンブルドア校長が急につれない態度をとり始めたではないか。 一方、ファッジはダンブルドアとホグワーツの生徒――特にハリー――の動向を警戒してホグワーツに目つけ役を送り込む。それが、闇の魔術に対する防衛術の新任教師ドローレス・アンブリッジだ。しかし、アンブリッジ先生が教える“魔法省お墨つき”の防衛術では、ホグワーツに迫り来る闇の力にとてもたちうちできない。ハリーは、ロンとハーマイオニーに説得されて立ち上がる――校内の有志を集めて“ダンブルドア軍団”を結成し、闇の魔術から身を守る方法をみんなにレクチャーして、きたる壮絶な戦いに備えようと決意したのだが……。
ワーナー・ブラザース映画提供/ヘイデイ・フィルムズ作品/原題“Harry Potter and the Order of the Phoenix”/ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ヘレナ・ボナム=カーター、ロビー・コルトレーン、ウォーウィック・デイビス、レイフ・ファインズ、マイケル・ガンボン、ブレンダン・グリーソン、リチャード・グリフィス、ジェイソン・アイザックス、ゲイリー・オールドマン、アラン・リックマン、フィオナ・ショー、マギー・スミス、イメルダ・スタウントン、デイビッド・シューリス、エマ・トンプソン、ジュリー・ウォルターズ/監督デイビッド・イェーツ/製作デイビッド・ヘイマン、デイビッド・バロン/脚本マイケル・ゴールデンバーグ/原作J.K.ローリング/製作総指揮ライオネル・ウィグラム/撮影スラボミール・イジャク/美術スチュアート・クレイグ/編集マーク・デイ/衣装ジャニー・ティマイム/音楽ニコラス・フーパー
本作は通常の劇場公開に加え、世界各国のIMAXシアターで『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団:An IMAX3D Experience』として公開される。およそ20分間におよぶ本作のクライマックスは独自のデジタル技術を駆使して3D化され、世界一の迫力を誇る立体映像An IMAX3D Experience®となってスクリーンに登場。その驚異の映像体験The IMAX Experience®を可能にしたのが、フィルムから立体映像を起こす特許技術IMAX DMR(IMAXデジタル再編集)だ。巨大なスクリーンの下には3Dメガネを着脱するタイミングが表示され、緑のアイコンが点滅したら着用、赤のアイコンが表れたら外すサインとなっている。 IMAX、IMAX3D、IMAX DMR、IMAX MPX、The IMAX Experience®、An IMAX3D ExperienceはいずれもIMAX社の登録商標。
世界配給ワーナー・ブラザース映画(ワーナー・ブラザース・エンターテイメント・カンパニー)。
なお、本作は全米映画協会よりPG‐13指定を受けている www.harrypotterorderofthephoenix.com
【新たな局面を迎える5作目】
ホグワーツで迎える5年目はハリーにとっても、友人やクラスメートにとっても、大きな節目だ。5年生ともなれば、もう子供ではない。大人として試練に立ち向かい、決断を下し、その結果に責任をもたなくてはいけないのだ。特にハリーは、ヴォルデモート卿の復活を目撃し、同級生セドリック・ディゴリーの死を目の当たりにした。そのぶん早く大人になること、想像以上の重責をになうことを余儀なくされる。
本作で「ハリー・ポッター」シリーズに初参加したデイビッド・イェーツ監督は「この5作目はストーリーの背景が興味深いね。生徒たちは難しい時期にさしかかっている。大人への一歩を踏み出したばかりだから、なにもかもが悩ましいんだ。今回のテーマは、大人になることへの反発と窮屈さ。思いどおりにならない世の中で、いかに自分を貫くか――それが、このストーリーのメッセージじゃないかな。今回はJ.K.ローリングの原作に見るファンタジーと冒険、過去4作品に登場した映像マジックに加えて、いつになく複雑で微妙なテーマが含まれているんだ――それも、かなり“大人のテーマ”がね」
おもに英国のTV界で活躍してきたイェーツを抜擢したのは、「ハリー・ポッター」シリーズを1作目から手がけているプロデューサーのデイビッド・ヘイマン。抜擢した理由は、やはり今回のストーリーにあるようだ。「デイビッドは演技指導にすぐれた監督です。そのうえ、過去の監督作を見てもわかるように、政(まつりごと)をエンターテイメントに仕立てる腕も一流。この作品そのものは政治ドラマではありませんが、魔法界をめぐる勢力図、駆け引きがストーリーの要になっています。デイビッドなら、そのあたりを上手に描いてくれると思ったし、実際にそうでした。この素材を映像化することに大変な意欲があり、各キャラクターの心のひだを完全につかんでいたんです。『ハリー・ポッター』の壮大な世界を理解したうえで、キャラクターの心理描写こそが観客の共感を呼ぶものと心得ていました」
ヘイマンが続ける。「デイビットを起用して本当によかったのは、若いキャストが彼を慕い、彼もまたキャストを大切にしてくれたことですね。若いキャストは役柄と同様に、今が成長ざかり。デイビッドは、そんな彼らを一人前のプロと見なして対等に接していました。それぞれのキャストが役を深く理解していることを評価し、彼らの意見を積極的に求めていました。若いキャストも、それを見ている私たちも、うれしかったですよ」
ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフも証言する。「デイビッドと仕事をするのは本当に楽しかったよ。人当たりがよくて、話し方もおだやかな監督なんだ。でも、俳優としてあんなに追い詰められたのは初めてだった。ストーリーの内容も難しかったけれど、デイビッドの演技指導もすごく厳しかったからね。デイビッドは妥協も手加減もしない。『もっと演技を掘り下げて』と注文をつけてくるんだけど、デイビッドの指示はいつも的確なんだ。すばらしい監督だね」
「デイビッドは話のわかる人。僕たちはすっかり意気投合したよ」とハリーの親友ロン・ウィーズリーを演じるルパート・グリントは言う。「今までの監督とはかなり違うんじゃないかな。いつ見ても余裕があるし、アイデア豊富だしね」
ハリーのもうひとりの親友ハーマイオニー・グレンジャーを演じるエマ・ワトソンも、「デイビッドのすばらしいところは、私たちをそれぞれの役のプロと見なしてくれたことね。ハーマイオニーを演じるのはこれで5度目だけど、デイビッドはその点を尊重してくれたわ。ダン(ダニエル)、ルパート、私の3人が築きあげてきた友情や歴史を大切に考えて、それをハリー、ロン、ハーマイオニーの関係にも活かそうとしていた。キャラクターにリアリティをもたせるためにね」
イェーツと同様、本シリーズに初めて参加したのが脚本を担当したマイケル・ゴールデンバーグだ。「デイビッド・ヘイマンから声をかけてもらったときは天にも昇る気持ちだった」とゴールデンバーグは振り返る。「でも原作の完成度が非常に高いこともあって、妙にいじる必要はなかったし、それが結果的によかったのだと思います。月並みな言い方ですが、世界的ブームを呼んでいるプロジェクトに仕掛け人のひとりとして参加できるなんて、夢のようでした。デイビッド・ヘイマンのおかげで楽しい現場になったし、またそれが『ハリー・ポッター』シリーズのあるべき姿だと思います。それにジョー(J.K.ローリング)が理解ある人だったので、映画版として最高の仕上がりになったと自負しています。また、デイビッド・イェーツは一貫してリアリティにこだわっていましたが、それがハリー・ポッターの夢の世界をいっそうきわだたせていると思います」
ゴールデンバーグが続ける。「もちろん、原作のエッセンスに忠実であることは非常に大切です。とりわけ今回はハリーの人生の1ページが描かれている。年頃を迎えたハリーはイメージと現実は違うこと、何事も白黒では割り切れないことを悟るんです。英雄に思えた大人たちにも想像以上に欠点があり、しょせんは神様ではない。そうした気づきはハリーに限らず、ロンやハーマイオニーも体験します。若いキャラクターはみな、ホグワーツに入学したころとは違う、難しい現実に直面するんですよ」
ハリーの人生の1ページは、今回もダーズリー家のもとで憂鬱な夏休みを過ごすことから始まる。何よりも耐えがたいのは、親友のロンやハーマイオニーからなんの音沙汰もないこと。この夏に限って一通の手紙も来ないというのはショックというより、妙な話だ。なにしろ前学期は衝撃的な事件、悲しい出来事が相ついだのだから。
製作のデイビッド・バロンが説明する。「ハリーには同情しますよ。前回のショックをひきずっているうえに、リトル・ウィンジング(ダーズリー家の所在地)に隔離されたような状態になって、誰とも連絡が取れない。そこでハリーは思うんです――自分はみんなに見放されたんじゃないかと。ロンにも、ハーマイオニーにも、ダンブルドア校長にも。さらにティーンエージャーならではのストレスも重なって、ついに堪忍袋の緒が切れてしまう。今回のハリーは今までにない一面を見せます。いつものように冷静なハリーではない。まあ、その気持ちもわからないではないのですが……」
そこへタイミング悪く、いじめっ子のダドリー・ダーズリーが登場。いつもの調子でハリーをいびり始めるが、今度ばかりはハリーも黙っていられず、対決姿勢をあらわにする。そこへ突然、邪魔が入った。2人組のディメンターがハリーとダドリーに襲いかかってきたのだ。ハリーはやむなく守護霊の呪文を唱え、難を逃れるが、その数秒後に一通の手紙がプリベット通りのダーズリー家に届いた。それによると、ハリーは魔法を不法に行使したと見なされ、ホグワーツを除籍になるという。この知らせにダーズリー家は大喜びだが、ハリーはますます追い詰められてしまう。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。その晩、オーラー(闇の魔法使い捕獲人)の一団――アラスター・“マッド‐アイ”・ムーディ、キングズリー・シャックルボルト、“トンクスと呼んで”が口ぐせのニンファドーラ・トンクスなど――がハリーの救出に駆けつけてくる。オーラーによれば、ダンブルドアの計らいにより、ハリーは魔法省で開かれる尋問会で除籍処分に異議を唱えることができるらしい。
しかし、その前に秘密の場所へ案内してくれるという。そこに行けば、ハリーがウィーズリー家にこもっている間、何が進行していたかわかるというのだ。こうして着いた先がグリモールド・プレイス十二番地――存在するような、しないような不思議な番地である。そこでハリーはロンやハーマイオニーと再会し、“不死鳥の騎士団”なるものの存在を初めて知る。「不死鳥の騎士団は大昔にダンブルドアが立ち上げた秘密組織。ヴォルデモート率いる闇の力に対抗するのが目的です」とデイビッド・ヘイマンが説明する。「騎士団が表立って行動できないのは、魔法省の大臣ファッジがダンブルドアの動きを警戒し、ヴォルデモート復活の噂を握りつぶそうとしているから。しかし、ヴォルデモートは実際に陰で支持者を集め、勢力を拡大しているんです」
ハリーは自分の両親が発足当時のメンバーだったことを知る。現在のメンバーにはモリー&アーサー・ウィーズリー、リーマス・ルーピン、セブルス・スネイプに加え、シリウス・ブラックの姿もあった。ハリーにとってはうれしい驚きである。シリウスは自分の生家を騎士団の活動拠点として解放していたのだ。デイビッド・イェーツが語る。「シリウスはお尋ね者の身だから、前線で活動することはできない。そこで、せめてもの貢献としてブラック家を提供したんだ」
シリーズ3作目『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』に続いてシリウス・ブラックに扮するゲイリー・オールドマンは、「シリウスはトラウマに苦しむ男なんだ。誤認逮捕されたあげく、アズカバン刑務所に長年収監されていたからね。シリウスの心はいつも過去に――騎士団のメンバーだった青春時代にある。だから、ハリーを見ていると当時が蘇ってくるんだ。ハリーはお父さんのジェームズにそっくりだからね。シリウスはジェームズの親友であり、ハリーの名づけ親でもある――そこに少なからぬ縁を感じるんだよ。シリウスとハリーは特別な絆で結ばれていて、その絆は徐々に強くなっていくんだ」 「ハリーもシリウスには特別な感情をもっている」とラドクリフは言う。「シリウスはハリーに若き日のジェームズを見るし、ハリーはシリウスをとおして父親のことを知るわけだからね」
不死鳥の騎士団はハリーのルーツを……いや、それ以上のことを教えてくれる窓口なのだ。「ハリーは正式なメンバーではないけれど、ゆかりの深い人たちが参加していることもあって、気持ちだけは騎士団の一員なんだ」とラドクリフ。「騎士団の存在はハリーにとって、すごく大きい。両親が初代のメンバーだったし、騎士団を通じてヴォルデモートと再び対決するチャンスがあるかもしれない」
【魔法省、初公開!】
しかし今のハリーには、ヴォルデモートと対決するよりホグワーツに復学するほうが先決である。ハリーは尋問会で自分の行いの正当性を訴えなくてはならない。尋問会が行われるのは、あの魔法省だ。
魔法省の建物に入ると、広大なロビーが出迎えてくれるが、そこにデカデカと飾られているのはコーネリウス・ファッジのポスター。美術を担当したスチュアート・クレイグの言葉を借りれば、「旧ソ連を連想させるプロパガンダ・ポスター」である。
職員が廊下を飛び交い、書類が宙を舞う魔法省だが、「それでも、お役所に変わりはありません。イギリスの官公庁の建物は大半が19世紀のビクトリア様式で、デザインが凝っています。それに、魔法省は地下にあるという設定ですから、まずはロンドン最古の地下鉄の駅を研究しました。駅の構内には、趣向を懲らしたセラミックのタイルが贅沢に使われています。それを参考にしながら、トンネルのような地下空間をデザインし、仕上げに光沢のある黒のセラミック・タイルを張りめぐらせました。映像としては非常に見ごたえがありますが、かなり黒光りするので(撮影の)スラボミール・イジャクに苦労をかけてしまいました」
魔法省のロビーは「ハリー・ポッター」シリーズ始まって以来の大型セット。その広さは、奥行き60メートル、幅36メートル、高さ9メートルにおよぶ。視覚効果を加えた完成品はさらに広大な印象だ。 ハリーはミスター・ウィーズリーに付き添われて“来客用入り口”から魔法省へ入る。入り口といっても、ロンドンの街なかで見かける電話ボックスなのだが、これにはわけがあった。「本物の役所の下に魔法省があったら、おもしろいんじゃないか。そう思ったんです。そこで、例の電話ボックスを防衛省の横の歩道に置いてみました。我々マグルは知るよしもありませんが、イギリス防衛省の真下は魔法省というわけですよ」とクレイグは笑う。
尋問会は、ファッジが企んだようには行かなかった。これもダンブルドア校長と意外な証人のおかげだ。ハリーは晴れて無罪放免となり、ダンブルドアに礼を言おうとする。ところがハリーの恩師は目を合わせようともせず、逃げるようにその場から去ってしまうのだ。
アルバス・ダンブルドアを再演するマイケル・ガンボンが説明する。「ハリーから見たダンブルドアは全幅の信頼に足る絶対的な存在だった。ところが今回、その絶対性が揺らいでくるんだ。さすがのダンブルドアも衰えを隠すことができなくなるが、そのぶん人間味が増すんじゃないかな。今回はダンブルドアの内面を掘り下げることができて、いい勉強になったよ」
ダンブルドアのようすを気にしつつ、ハリーはホグワーツに戻る。そこでハリーを、そしてクラスメートを待ち受けていたのは、今までとは比べものにならないほど大きな試練だった。
【ピンクを着た悪魔】
ホグワーツに戻ったハリーを出迎えたのは、周囲の白い目と新聞のふざけた見出し。日刊預言者新聞はハリーがヴォルデモートの復活話をでっちあげたと書きたて、ハリー・ポッターならぬ“ハリー・プロッター(策略家)”と糾弾する始末。すっかり孤立したハリーは、ロンとハーマイオニーの救いの手さえはねのけてしまう。いくら親友でも、この気持ちを理解できるはずはないと決め込むのだ。
ダニエル・ラドクリフが話す。「ハリーは“いじけモード”に入ってしまうんだけど、そこがまた魅力じゃないかな。ハリーはパーフェクトじゃない、欠点もいっぱいあるんだ。でも、その欠点がハリーを親しみのもてるキャラクターにしているんだと思う。根はいいやつだけど、しょっちゅう自信をなくすハリーに共感する人は多いんじゃないかな」
イェーツも同感だ。「ここはハリーにとって人生最大の危機。魔法省が発行する日刊預言者新聞にはコケにされるし、新聞の読者は記事のほうを信じている。だからホグワーツに戻っても、今までのような居心地のよさは感じられないんだ。つまはじきにされたハリーは決断を迫られる――このまま一匹狼で終わるのか、それとも、今まで自分を支えてくれた友達とやり直すべきか。どっちに転ぶかわからない状況もあるんだけど、このあたりのエピソードは劇中でいちばんドラマチックな部分だよ。ハリーの心の揺れがよく出ていると思う」
イェーツが続ける。「ここは俳優ダニエルにとっても正念場だったよ。とても繊細な演技が要求されるからね。ダンのいいところは度胸のよさとプロ根性。シーンによっては何度も撮り直しをしたけれど、撮り直すたびに、もっといい演技をしようという意欲が伝わってくる。まったくすばらしいよ――理想の演技をめざして全力を尽くすという姿勢がね」
新年度を迎えたホグワーツにひとりの新顔がやってくる。闇の魔術に対する防衛術の新任教師ドローレス・アンブリッジだ。演じるのは『ヴェラ・ドレイク』(04)で数々の演技賞に輝いたイメルダ・スタウントン。全身ピンク一色のアンブリッジ先生だが、そのやさしい笑顔とソフトな声にだまされてはならない。
イェーツが語る。「コーネリウス・ファッジはダンブルドアに戦々恐々としている。ダンブルドアが自分の地位を狙っているんじゃないかと勘繰っているんだ。そこで、腹心の部下であるドローレス・アンブリッジを監視役としてホグワーツに送り込む。アンブリッジの使命はホグワーツから不届き者を一掃し、教科書どおりのオーソドックスな教育を全校に徹底させること。要するに、魔法省が決めた規範にホグワーツをはめようとするんだけど、それが価値観の衝突を生むんだ」
「アンブリッジは羊の皮を着た狼」と製作のバロンは指摘する。「装いは愛らしいピンクでも、中身は大違い。アンブリッジをホグワーツへ送り込めばどういうことになるか、ファッジ自身もわかっていないのではないでしょうか。それ以前に、彼女の本性をつかんでいるかどうかも疑問ですね」 「アンブリッジはホグワーツを支配することしか頭にない。秩序と統制が第一なんです」とデイビッド・ヘイマンがつけ加える。「その独善的な考えにそぐわないものは、残らず斬り捨てられてしまう。彼女にとって生徒は可能性を秘めたつぼみではない。魔法省の方針と思想を叩き込む器に過ぎないんです」
ドローレス・アンブリッジににらまれるのは、生徒ばかりではない。ホグワーツの教職員も容赦ない攻撃の対象なのだ。占い学のシビル・トレローニー先生(エマ・トンプソン)も問答無用で解雇されるとは予見できなかったろうし、呪文学のフリットウィック先生(ウォーウィック・デイビス)もアンブリッジのおめがねにかなわなかった。さらにはセブルス・スネイプス(アラン・リックマン)、副校長のミネルバ・マクゴナガル(マギー・スミス)といったベテラン教員でさえ、魔法省からやって来た高等尋問官にはお手上げ。アンブリッジがふりかざす権力という大鉈から逃れられる者はひとりもいないのだ。校長のアルバス・ダンブルドアとて例外ではない。
ヘイマンが語る。「アンブリッジの最終目的はダンブルドアを失脚させ、ホグワーツを魔法省の管理下に置くこと。行く手を邪魔する者は決して許さない。そんな横暴なアンブリッジを、イメルダは余裕の笑顔で演じてしまいました」
イメルダ・スタウントンが話す。「アンブリッジみたいなタイプって、けっこういるでしょう? あたりはいいけれど、腹の中はどうなっているかわからない。それだけに演じがいがあったわ。彼女は間違ったことをしているという自覚がないのよ。自分は正しいと信じて疑わない。そういう凝り固まった人って手ごわいものよ。話し合いの余地なんて、まるでないんだもの」 「イメルダはこの役を完全に消化していたよ」とイェーツが感心する。「演技力もすごいけど、コメディのセンスがまたすばらしい。イメルダのおかげでアンブリッジに凄みが出たよ。しかもイメルダは、この複雑な役どころをさらりと演じてのけたんだ」
アンブリッジのキャラクター設定を考えると、この役に起用されたスタウントンは複雑な心境ではなかったのか。「原作を読むと、アンブリッジはルックスも性格も最悪。だから『あなたなら、この役にピッタリです』と言われたときは、『あら、どうもありがとう』と言うしかなくて……」とスタウントンは笑う。「でも、とても光栄だったわ。うまみのある役どころだし、このシリーズに参加できること自体、夢みたいでしょう。うちには12歳の子供がいるんだけど、いまや子供の前で大いばりできるわ」
スタウントンは衣装デザイナーのジャニー・ティマイムと連携して、アンブリッジのルックスに工夫をこらした。「体型は丸くても性格は決して丸くない。そんなキャラクターを構築していくのは本当に楽しかったわ」とスタウントンは振り返る。「とにかくシャープな印象のファッションは避けたかったの。せめて見た目はやさしく、おだやかな雰囲気を出すことが大切だと思ったから。まあ、中身は正反対なんだけれど……」
ティマイムは温厚な印象をもたせるため、「イメルダにパッドを装着してもらいました。イメルダ自身はとても細身ですから」と明かす。また、アンブリッジの衣装にはソフトな起毛生地を選び、やさしくおだやかな雰囲気を演出したという。
しかし色だけは、最初から決まっている。ベビー・ピンク、サーモン・ピンク、ショッキング・ピンク……。「原作どおり、アンブリッジはいつ見てもピンクを着ています」とティマイム。「そのピンクも、彼女のふるまいが横暴になるにつれ、派手で毒々しいトーンに変化していく。しまいには赤に近い濃いピンクになるんです」
アンブリッジのトレードカラーはオフィスのデザインにも採用されている。スチュアート・クレイグ率いる美術班は、アンブリッジのオフィスを濃淡の違うピンクで統一。アクセントとしてレースやベルベットをあしらい、インテリア雑貨をあちこちに置いた。調度品はおもにフランス製だが、クレイグは「曲線の中にもシャープな印象がある」ものを厳選。ここにもアンブリッジの本性が象徴されている。この部屋でひときわ目を引くのが壁にずらりと掛かっている猫の絵皿で、ざっと200枚はある。皿に描かれた猫たちのなかには異様に騒々しいものもいる。
それにひきかえアンブリッジの教室は冷たく、ストイックな雰囲気。アンブリッジの教育方針を象徴するかのようだ。生徒を支配することが教育というその信念は、新たに配布した教科書にも貫かれている。「アンブリッジは闇の魔術に対する防衛術の先生なんだけど、それにしては授業の進め方がヘンなんだ」とルパート・グリントがぼやく。高度なことは教えてくれないし、理論ばかりで実習はいっさいなし。魔法学校だというのに、そんなのバカげているよね」
エマ・ワトソンも同感だ。「あんな授業、防衛術でもなんでもないわ。だって、生徒に魔法を使わせてくれないのよ。優等生のハーマイオニーには、それがじれったくて仕方がない。ただ椅子に座ってくだらない授業を聞いているのが耐えられないの。“勉強命”の彼女にしてみれば、はらわたが煮えくり返る思いでしょうね。ハリー、ロン、ハーマイオニーにとって、ホグワーツは絶対的に安全な場所だった。それが今回初めて安全ではなくなるの。恐ろしくて、危険な場所になってしまうのよ」 確かに危険である。闇の帝王が息を吹き返したというのに、生徒たちはまったくの無防備なのだから……。
【ダンブルドア軍団】
アンブリッジの支配力は日増しに大きくなり、それにつれて魔法省がくだす教育令も刻一刻と厳しさを増していく。ほぼ毎日、何らかの通達事項がホグワーツの石壁に掲示され、アンブリッジが違反と見なす行為はことごとく禁じられた。しかし、アンブリッジの締めつけはやがて裏目に出る。頭を押さえつければ押さえつけるほど、生徒たちの反発は強くなる一方だ。「皮肉なことに、アンブリッジはホグワーツを完全に支配しようとして、その逆の結果を招いてしまうんだ」とイェーツは指摘する。
最初に行動を起こしたのはハーマイオニー。有志を集めて自主的に勉強会を開こうと計画する。「呪文を学ばなければ自分の身は守れないことを、みんな知っているわ。それに魔法省はヴォルデモートの復活を否定しているけれど、それがウソだってこともわかっている。みんな、ハリーを信じているのよ。ハリーの言うように、近いうちに良からぬことが起きる。だからこそ、ハーマイオニーは生まれて初めて反抗する気になったんじゃないかしら。言いつけを守るだけではダメだということを彼女は実感するの。大人はいつでも信用できるとは限らない、ときには自分自身を信じなくちゃ」
ハリーは、ハーマイオニーとロンに背中を押されて先生役を引き受ける。闇の魔術から身を守る呪文をホグワーツの仲間に教えるのだ。ラドクリフが話す。「最初はためらっていたハリーだけど、ハーマイオニーの説得に負けてしまうんだ。ハーマイオニーのあの理屈っぽさが、このときばかりは功を奏する(笑)。で、僕たち有志は秘密結社“ダンブルドア軍団”を結成するんだ。先生役のハリーは今まで蓄えた知識をみんなに伝授して、応戦の仕方を指導する。戦いが始まる、絶体絶命の危機が迫っていることをハリーは肌で感じているんだ。アンブリッジ先生が教えてくれないなら、自分たちで学ぶしかない。そうでないとハリーたちに勝ち目はないからね」
”クラスメート”から“先生”へと昇格したことがハリーにとって大きな転機となる。デイビッド・ヘイマンが指摘する。「映画の冒頭で、ハリーは自分のことをアウトサイダーのように感じていました。信じてくれる人も、頼りにしてくれる人も、味方になってくれる人もいないと。けれども、ここへきて、自分には仲間がいるのだとわかる。仲間どころか、信じてついてきてくれる同志が大勢いることを知るんです。心強く、感動的なエピソードですよ。孤独感にさいなまれてきたハリーが仲間を従え、リーダーになるのですから。しかもハリーは本職の教師以上に教え方が上手なんです」
ダンブルドア軍団の中で、ひときわ異彩を放っているのがルーナ・ラブグッドだ。小声で話す女子生徒だが、かなりエキセントリックな性格で、人にどう思われようといっこうに気にしない。シリーズ初登場となるラブグッドに扮しているのは新人のイバナ・リンチ。この運命の役でスクリーン・デビューを果たした。
ルーナはユニークなキャラクターゆえ、キャスティングは難航をきわめた。キャスティング・ディレクターのフィオナ・ウィアーをはじめ、製作スタッフは何百人もの候補者と面接したが、ルーナのイメージに合う者は見つからない。そこでスタッフは一般公募に踏みきることにした。すると、イギリス各地から1万5,000人を超える応募者が集まり、オーディション会場には順番待ちの長蛇の列ができた。その中にいたのがイバナ・リンチだ。ハリー・ポッターの大ファンだったリンチは原作を読んだときからルーナに惚れこんだという。「一目惚れだったわ」とリンチは明かす。「ルーナはどんな相手にも正直に接するの。もちろん、自分に対してもね。そこがすごくクールだと思うわ。ユーモラスで、マイペースで、ボーっとしているような印象があるから、頭が弱いみたいに思われるけれど、本当はそうじゃない。賢くて、しっかりしているし、洞察力が鋭いのよ」
原作に登場したときからルーナに親近感を覚えたというリンチ。その思いが高じて、ルーナのセリフを朗読し、テープに録音したこともあったらしい。公開オーディションが行われると知ったときは、「行かなくちゃ……これは運命なの!」と家族に宣言。父親を説き伏せて、アイルランド南部の自宅からオーディション会場まで送ってもらい、1万人を超える応募者の列に並んだ。合格したい気持ちはほかの候補者と同じでも、自信のほどは違った。「緊張なんてしなかったわ。だって、ルーナは私の分身だから」とリンチは言いきる。
スタッフもそう感じた。製作のデイビッド・バロンが当時を振り返る。「キャスティング担当のフィオナ・ウィアーは1万5,000人の応募者全員と面接して、最終候補を29人に絞り、その29人を収めたDVDを我々のもとに送ってきたんです。『この中に、めぼしい子がひとりいる』と言うんですが、誰とは教えてくれない。仕方なくDVDを見ていたら、9番目の候補者に目が留まったんです。さっそくフィオナに電話して、『9番目の子だよね?』と確認したら、やっぱり当たりでした。それがイバナだったんです。彼女はそれだけ光っていました」
デイビッド・ヘイマンも同感だ。「ルーナを演じられる子はたくさんいたけれど、ルーナになれるのはイバナ・リンチだけ。そこが、ほかの候補者との決定的な違いでした」 リンチはルーナの衣装についても貴重な助言をしたという。「イバナはディテールにまでこだわりをもっていました」と衣装のジャニー・ティマイムが証言する。「ルーナのアクセサリーとして赤いラディッシュのイヤリングを用意したんですが、イバナは『どうしてもオレンジ色にしてほしい』と言う。それだけルーナの趣味を理解しているんです。衣装をデザインする際は、ルーナらしい趣味と好みを反映させながら、周囲からあまり浮かないように注意しました」
もうひとり、ダンブルドア軍団のメンバーにマシュー・ルイス扮するネビル・ロングボトムがいる。ネビルはクラスに溶け込めず苦労していたのだが、秘密の勉強会にうってつけの会場を見つけて株を上げる。人目につかないその会場とは、通称“必要の部屋”。その名が示すとおり、この部屋は自分を必要とする人の前にだけ現れ、注文に応じて姿を変える。しかし、部外者の目にふれることはまったくないのだ。
美術のスチュアート・クレイグが説明する。「原作によると、必要の部屋には本やクッションがたくさん置いてありますが、私たちはその代わりに鏡を並べました。室内にいる人がどんな姿で、何を必要としているか映し出したいと思ったからです。もちろん“必要の部屋”なので、本やクッションが必要なら両方とも現れますから、原作の設定とはさほどかけ離れていないんですよ」
とはいえ、映画のセットである以上、鏡張りの必要の部屋にも必要な準備がある。「その鏡が問題だったんです」とクレイグも証言する。「キャスト、カメラ、スタッフ、照明……何でも映し出してしまいますからね。ショットが変わるたびに鏡の角度も変え、反射を抑えるために専用のスプレーを吹きかけたこともありました」
さらにクレイグは“鏡対策”として、撮影監督のスラボミール・イジャクと協力し、セットの床下に照明システムを設置。床にしつらえた格子ごしにライトを当てようと考えた。ところが当初、このアイデアは企画倒れに終わるかと思われた。というのも、「スタッフや出演者の靴底にじかにライトが当たり、そのようすが無様な形で鏡に映ってしまったんです」とクレイグ。「そこで出演者の靴底を黒のベルベットで覆うことにしました。現場にいるスタッフや待機中の俳優には、ホコリを立てないように(土踏まずがカーブしている)医療用のサージカル・シューズを履いてもらったんです。黒い床のホコリが浮いて見えるようでは、下からライトを当てているのがみえみえですから」
【ヤドリギの下のファースト・キス】
クリスマスが近づき、ホグワーツが冬休みに入ると、ハリーたちの勉強会も中断を余儀なくされた。生徒たちが次々と学校を離れていくなか、ひとりポツンと残ったのがケイティー・ラング演じるチョウ・チャンだ。ハリーは前回、愛らしいチョウに初めて目を留めるが、それ以来ふたりは密かに惹かれあっていた。しかし、共通の友人だったセドリック・ディゴリーの死によって、ふたりの間は気まずくなってしまう。十代だったディゴリーは、復活したヴォルデモート卿の最初の犠牲者なのだ。ふたりの気持ちを察した必要の部屋はクリスマスの風物詩、西洋ヤドリギの枝(男性はこの枝の下にいる少女にキスをしていいという言い伝えがある)を提供してくれた。そして、ポッター・ファンが待ちに待った瞬間が訪れる――ハリーのファースト・キスだ。
「ケイティーが緊張するから、僕もつられて緊張しちゃった」とラドクリフは明かす。「あれは単なるキス・シーンじゃなくて、ハリーとチョウの万感がこみあげるシーンなんだ。リハーサルを何度か重ねるうちに気分が落ち着いてきて、わりと簡単に演じることができたよ。いいシーンになったし、楽しかった」
ラングが振り返る。「私はすごくあがってしまったの。カメラの前でキスするのは初めてだったから。でもデイビッド・イェーツに救われたわ。細かい段取りまで指示してくれたので、少しリラックスできたのよ。最初は照れくさかったけれど、ダニエルのリードのおかげでうまくいったの。楽しい思い出になったし、それにダニエルは……すごくキスが上手」
イェーツがつけ加える。「ふたりにはリラックスしてほしかったので、ごく少数のスタッフ以外はセットから出ていってもらったんだ。できるだけプライベートな雰囲気にしようと思ってね」 ラドクリフとラングをリラックスさせたイェーツの心づかいも、スタッフの緊張をほぐすことはできなかったらしい。セットに残ったスタッフは、シリーズ全作を通じてダニエル・ラドクリフの成長を見守ってきた。ヘイマンが語る。「我々の大半はダニエルが10歳だったころから、その成長を間近で見てきましたから、ダニエルは我が子も同然なんです。そのダニエルがこれからキス・シーンを演じる……そう思うと複雑な心境になりましたよ。“とても目を開けていらない!”なんて、親みたいなことを考えたりして(笑)。でも、撮影はパーフェクトでした。美しく、ほほえましいシーンになったと思います」
ヘイマンが続ける。「『ハリー・ポッター』シリーズのやりがいのひとつが若いキャストの成長と、その才能が開花するようすを見守れることです。みんな本当にいい子なんですよ。好奇心旺盛で、思いやりがあって、かしこくて……。この作品を観ていただければ、彼らが人間として、俳優として、いかに成長したかわかってもらえると思います」
【スケールアップしたクリーチャーたち】
冬休みが終わり、授業が再開されると同時に、アンブリッジは不満分子の取り締まりをいっそう強化しようと決意。反抗的な生徒を追跡し、よからぬ行いをやめさせようというのだ。ホグワーツの管理人アーガス・フィルチは長患いをしていて使えそうもない。そこでアンブリッジはスリザリン組の生徒に偵察役を依頼。スリザリンを仕切るのは、ハリーの宿敵としておなじみのドラコ・マルフォイ(トム・フェルトンが再演)だ。アンブリッジの“尋問官親衛隊”になったマルフォイは手柄を立てようと大張りきり。ついでにハリーを出し抜くことができれば言うことはない。一方のアンブリッジは、もはや向かうところ敵なしだった。次に解雇するホグワーツ職員の名前を堂々と公表する始末だ。 森の番人ルビウス・ハグリッドはクビになるのも時間の問題と考え、ハリー、ロン、ハーマイオニーに特別なお願いをする――自分がいなくなったあと、半分血のつながった弟をよろしく頼む。その弟、グロウプは5メートル近い巨人だった!
グロウプを映像化するにはキャラクター・デザイン、モーション・キャプチャー(人体にセンサーを取りつけ、その動きをコンピュータに取り込む技術)、視覚効果に加え、俳優トニー・モーズリーの演技力が欠かせなかった。ヘイマンが話す。「注意力には著しく欠けるけれど、子供のように純真な心の持ち主――それが我々のイメージしたグロウプでした。トニー・モーズリーはイェーツ監督と打ち合わせを重ね、グロウプのモデルとしてモーション・キャプチャー撮影にのぞんでくれました」
イェーツがモーズリーを絶賛する。「トニーはグロウプになりきって、一つひとつの動きを心をこめて演じてくれたよ。スクリーンに映るグロウプはCGIキャラクターかもしれないけれど、そのなかにはトニーの心と魂が宿っているんだ」
グロウプの心があらわになるのは、ハーマイオニーに一目惚れする場面だろう。ハーマイオニーもグロウプの好意をうれしく感じる。「ハーマイオニーにとって、グロウプはいとおしい人なの」とエマ・ワトソンは指摘する。「惚れた弱みを見せるところなんか本当にかわいいし、ハーマイオニーの言うことだけはちゃんと聞く。なんだか、おかしいでしょう。グロウプが特殊効果の産物だということはわかっているけれど、それにしては、とても人間ぽい。あの子犬みたいな瞳――好きにならずにはいられないわ」
クリーチャーと特殊メイクのデザインを担当したニック・ダドマンはグロウプの頭部を実寸大で制作し、キャストとの“共演”を可能にした。また、この頭部は立体モデルの役割も果たし、視覚効果チームによる映像制作の参考になった。「実写撮影のときは、毛髪、目、歯を手動で操作しました」とダドマンは明かす。
「グロウプとの共演は楽しかった」とルパート・グリント。「肩から上だけのグロウプだったけど、あまりの存在感に肩から下がないことを忘れそうだったよ。グロウプと絡むシーンは僕のお気に入り。グロウプがハーマイオニーをナンパするシーンなんか、特にいいね。嫉妬にかられたロンはふたりの間に割って入るんだ。ヒーロー気取りで巨人を倒そうとするんだけど、結果は見えているよね(笑)。宙に放り投げられたときはスタントが経験できて楽しかったよ」
ハグリッドは“禁じられた森”の奥深くにグロウプを隠してきたが、この森には魔界生物のケンタウルスも棲息している。ティム・バーク率いる視覚効果チームはダドマンのデザイン・チームと協力し、この巨大クリーチャーの一群をスクリーンに復活させた。ケンタウルスは第1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』にも登場している。バークが解説する。「シリーズ初作に登場したケンタウルスですが、あれからずいぶん進化しました。半人半馬を卒業して、独自の個性をもった生き物になりました」
ヘイマンが言葉を添える。「ケンタウルスはパワフルでプライドが高く、森の番人という意識が強い。そんなケンタウルスを、アンブリッジは混血種という理由で忌み嫌っているんです」 ハリー・ポッターの世界に初めて姿を見せるクリーチャーが、骨ばった体躯と大きな翼が特徴のセストラルだ。一見すると馬のようだが、決してそうではない。馬とも竜ともつかない風貌をもつセストラルだが、その姿は、人の死を体験した者にしか見ることができない。セドリックの最期を目の当たりにしたハリーもセストラルの姿を初めて確認。ホグワーツ行きの乗り合い馬車は、セストラルが牽引していることを知って驚く。また、幼いころに母親を亡くしたルーナ・ラブグッドにもセストラルが見える。ルーナはこの紳士的なクリーチャーを友達と考えている。
セストラルはほぼ100パーセントが視覚効果の産物だが、ダドマンはわざわざ実寸大のモデルを作ってスタッフに提供した。「“広げた翼は10メートル”と口で言うのは簡単です。けれども、それを映像にしたらどうなるか。背景やキャストとのバランスはどうなるか、実際に目で確認してほしかったんです。セストラルは闇夜に現れる黒い動物ですから、質感や背景との兼ね合いについても議論が必要でした」
ハリーとルーナにしか見えないセストラルだが、ダンブルドア軍団を初陣へと送り届ける大役を果たす。ハリーたちの勇気と日ごろの成果が試される日が、ついに来たのだ。
【シリーズ史上最大の見せ場――命を賭けた壮絶な決戦】
リーダーとしての自信をたくわえ、アンブリッジに公然と反旗を翻すようになったハリーだが、悪夢にうなされる日々は続く。もっと恐ろしいのは、その悪夢が正夢に思えることだ。しかし、ダンブルドアは別の見方をしていた――ハリーの悪夢は夢などではなく、ハリーの心を操ろうとするヴォルデモートの企みではないか。そこでダンブルドアはスネイプに個人授業を依頼し、ハリーに“閉心術”を伝授するよう命じる。この術をマスターすれば、ヴォルデモートの心理攻撃をシャットアウトできるはずだ。閉心術のレッスンはハリーやスネイプが想像した以上に、苦しくも奥深いものになる。しかし、その術も効果はなかった。ヴォルデモートが仕かける心理戦に、若い魔法使いはたちうちできない。
そんなある日、ハリーはひときわ怖い夢を見た――シリウスがドアの向こうで襲われている。見覚えのあるそのドアは、尋問会に呼ばれたとき、魔法省で見かけたドアだ。この夢はハリーを魔法省へおびき寄せるためのワナなのか。たとえそうでも、行かないわけにはいかない。シリウスはハリーにとって、たったひとりの家族なのだ。
しかし、ハリーはひとりではなかった。ダンブルドア軍団の5人の勇者――ハーマイオニー、ロン、ネビル、ルーナ、ウィーズリー家の末っ子ジニー――が、ハリーの反対をよそに一緒に行くと言い出した。ハリーがシリウスの救出に命を投げ出すなら、あとの5人はハリーの援護に命を投げ出す覚悟だ。
魔法省に到着した6名の魔法使いは“予言の間”に忍び込む。ここは無数の予言を保管する洞窟のような部屋。どの予言もガラス球に入っており、ずらりと並んだ棚に分類されている。予言の間のセットについて、美術のスチュアート・クレイグが説明する。「当初は1万5,000個のガラス球を用意して、ガラスの棚に並べる予定でした。ホコリとクモの巣にまみれたガラスの宮殿というイメージにしたかったんです。けれども考え直しました。何かの拍子に棚が倒れでもしたら、一巻の終わり。修復に何週間かかるかわかりませんからね」。そこでクレイグはこのセットの制作をCGIにゆだね、予言の間のシーンはグリーン・スクリーンを背景に撮影された。
ハリーはこの部屋に見覚えを感じる。6人は番号のついた棚の列を奥へ奥へと進んでいくが、その途中、ネビルはとんでもないものを見つけた――“ハリー・ポッター”と書かれたガラス球だ。 ガラス球の中にはハリーとヴォルデモート卿の接点を示すヒントが隠されていた。しかし、そうとも知らないハリーはガラス球を手に取り……ワナにはまる。死喰い人の一団とそのリーダーであるルシウス・マルフォイが姿を現した。ルシウスを再演するジェイソン・アイザックスが話す。「この瞬間、ついにルシウスの化けの皮がはがれるんだ。戦いの火ぶたが切って落とされた今、ルシウスがどっちの味方なのかは自明の理だよ」
ルシウスの一味には、シリウス・ブラックのいとこ、ベラトリックス・レストレンジがいた。アズカバンから脱獄したばかりのベラトリックスはヴォルデモートの熱烈な支持者。そして、この魔女こそがネビルの両親に磔(はりつけ)の呪いをかけ、狂気へと追いやった張本人だった。その呪いにかかった者の苦しみは、「死んだほうがまし」とシリウスに言わしめるほどである。ベラトリックスの登場でネビルは戦いへの決意を新たにする。過去4作品でもネビルを演じてきたマシュー・ルイスは「ネビルにこんな勇気があるなんて、本人も気づいていなかったと思う」とコメントする。「弱虫でケンカもできなかったネビルが、両親の無念をはらそうと立ち上がるんだからね。まして死喰い人を相手に戦おうというのだから、信じられない進歩だよ」
悪女ベラトリックスに扮するのは、本シリーズ初参加となるヘレナ・ボナム=カーターだ。「このシリーズに出てくださいと言われたら、やるしかないじゃない? それに、ベラトリックスはとても楽しい役だったわ。だって完全に頭がイカれているんだもの」とボナム=カーターは笑う。「ベラトリックスは悪事が生きがいなの。彼女、ヴォルデモートにぞっこんなんじゃないかしら。ヴォルデモートの身代わりになって、14年も刑務所に入っていたんだから。脱獄した今、ベラトリックスは以前にも増してクレイジーになっているわ」
6人の若き魔法使いたちは魔法の杖を操り、覚えたばかりの呪文を放って懸命に応戦する。しかし、百戦錬磨の死喰い人には歯が立たない。あわや絶体絶命かと思われたその瞬間、不死鳥の騎士団がさっそうと登場。その先頭に立つシリウス・ブラックは「私の名づけ子を放せ!」とマルフォイに命じる。
戦いは激しさを極め、命の危険も迫りくる。それにもかかわらず――いや、だからこそ――シリウスは生き生きとして見える。ゲイリー・オールドマンが語る。「シリウスは、やり場のない不満をためこんできたんだ。12年も投獄され、脱獄したあともグリモールド・プレイスの生家に身を潜めていた。大暴れしたくてウズウズしていたところへ、ようやくチャンスがめぐってきたんだ。青春時代に戻ったような感じだね」
脚本のマイケル・ゴールデンバーグにとって、不死鳥の騎士団と死喰い人のバトル・シーンはいちばんの難題だった。「原作のエッセンスを活かしつつ、映画用に脚色するのは、綱渡りをするようなきわどい作業でした。とにかく、緊張感を表現しようと心がけたんです。何が起きても不思議はないし、いつ犠牲者が出てもおかしくない――そんな危険がいっぱいのシーンに観客は身を乗り出さずにいられないと思います」
壮絶な対決を演出するにあたって、デイビッド・イェーツは振付師のポール・ハリスに協力を仰いだ。杖と杖が火花を散らすさまはフェンシングの試合を見るようだ。「魔法の杖ならではの“殺陣”を考えてほしい――それがデイビッドの注文でした。過去の4作品にはなかった試みです」とハリスは振り返る。「そこで、呪文を繰り出すときの動きや構えにバリエーションをつけてみました。もちろん、ハリー・ポッターの世界を意識した殺陣を考えたつもりです」
ハリスは基本的な身のこなしに加えて、各キャラターの個性に見合う戦い方を考案し、キャストに伝授した。「マルフォイ役のジェイソン・アイザックスには教科書どおりの正攻法、シリウスを演じるゲイリー・オールドマンには“ストリート系”の戦法を指導しました。いずれも役柄にマッチしていると思います」
戦いも山場を迎え、勝利と悲劇の瞬間が訪れる。クライマックスはアルバス・ダンブルドアとヴォルデモート卿による大勝負だ。イェーツが明かす。「ダンブルドアとヴォルデモートの一番には迫力と臨場感が必要だと思ったんだ。観客もろとも、ふたりの戦いに巻き込んでしまいたかった。だから手持ちカメラをできる限り使ったよ」
このシーンは文字どおり、魔法界を代表する両雄の一騎打ち。視覚効果を担当したティム・バークは「デイビッド・イェーツの発案で自然のエレメントを総動員しました。火、水、砂とあらゆる要素を効果として盛り込んだんです。完成したシーンはじつにリアルで迫力がありますよ」
イェーツが言葉を添える。「ダンブルドアとヴォルデモートの一戦は、シリーズ5作をしめくくる最高の見せ場。善と悪による究極の対決、その間にハリーがいるという構図をめざしたんだ」 「一連の戦いは、すべてハリーの魂を守るための戦いなんです」とデイビッド・ヘイマンが指摘する。「ハリー自身も戦いのさなかに、そのことに気づく。映画の冒頭で孤独感にさいなまれ、友達の中にいても孤立していたハリーが、ここへきて、ようやく実感するんです――周囲の人たちから、かけがえのない贈り物をもらってきたことに」
ダニエル・ラドクリフも同じ意見だ。「ヴォルデモートは手下や権力を手に入れたかもしれないけれど、ハリーがもっているものは永遠に手に入らないだろうね。それは、見返りを求めない本物の友情なんだ」
ヘイマンがつけ加える。「ハリーにあってヴォルデモートにないものは、ほかにもあります。それは母親や友達から受けてきた愛情ですよ」 イェーツがしめくくった。「この作品には重く、深いメッセージがたくさん込められているけれど、いちばん大きなメッセージは友情と忠誠心のチカラじゃないかな」
デイビッド・イェーツ(監督)
多くの賞に輝く監督であり、元々はTV作品で最も知られていた。
英BBC放送のミニシリーズ「The Way We Live Now」で初の英アカデミー賞を受賞。これはマシュー・マクファディン、ミランダ・オットー主演の時代劇だった。2003年にはドラマシリーズ「State of Play」を監督、これにより英アカデミー賞テレビ賞にノミネートされ、英国監督組合賞の優れた演出に与えられる賞を受賞した。このプロジェクトではさらに放送報道協会賞、王立テレビ協会賞、そしてバンフ・テレビ祭で最優秀シリーズのロッキー賞を受賞した。
翌年にはリアリティに徹した2部構成のドラマ「Sex Traffic」を監督、これで再び英アカデミー賞テレビ賞を受賞し、2度目の英国監督組合賞にノミネートされた。強い意志で性的人身売買を描き、数多くの国際的な賞を受賞。それには8個の英アカデミー賞テレビ賞に4つの王立テレビ協会賞があり、どちらも最優秀ドラマ賞が含まれている、またランス国際テレビ祭で最優秀ミニシリーズの審査員賞、そしてモンテカルロ・テレビ祭でゴールド・ニンフ賞を受賞している。
より最近では05年に米HBO放送の映画『The Girl in the Cafe』でミニシリーズ、映画またはドラマスペシャルにおける傑出した監督としてエミー賞にノミネートされた。この作品はビル・ナイ、ケリー・マクドナルド主演のラブストーリーである。その他のTV作品にはジム・ブロードベント、ヒュー・ローリー主演のTV映画「The Young Visitors」とピート・ポスルスウェイト、ジェラルディン・ジェームズ主演のミニシリーズ「The Sins」がある。
マージーサイドのセント・へレンズで育ち、エセックス大学とワシントンD.C.のジョージタウン大学で政治学を学んだ。脚本も務めた短編映画「When I was a Girl」で監督としてのキャリアをスタート。この映画によりアイルランドのコーク国際映画祭の最優秀ヨーロピアン短編映画賞とサンフランシスコ映画祭のゴールデンゲート賞を受賞、またイングランドのビーコンズフィールドにある国立映画TV学院への入学を決めた。
卒業制作映画「Good Looks」はシカゴ国際映画祭でシルバー・ヒューゴ賞を受賞した。98年にはスティーブン・フライ、ジョン・ギールグッド主演の『The Tichborne Claimant』で長編映画監督デビューを飾った。一番新しい短編映画は02年の「Rank」であり、英アカデミー賞にノミネートされている。
デイビッド・ヘイマン (製作)
J・K・ローリングの大成功を収める「ハリー・ポッター」シリーズの5作目となる本作においても、再びプロデューサーを務めている。 イギリスとアメリカで教育を受け、ミロス・フォアマン監督作『ラグタイム』(81)やデイビッド・リーン監督作『インドへの道』(84)で製作アシスタントとしてキャリアをスタートさせた。
1986年にロサンゼルスに移転し、ワーナー・ブラザースのクリエイティブ部長となり、『愛は霧のかなたに』(88)や『グッドフェローズ』(90)などの映画に携わった。80年代後半、ユナイテッド・アーティストの副社長という地位に就き、そののち、独立系のプロデューサーとしてのキャリアを踏み出した。トゥパック・シャクールとオマー・エップスが共演したアーネスト・ディッケンソン監督作『Juice』(92)、リーブ・シュライバー、パーカー・ポージー、ホープ・デイビス、スタンリー・トゥッチ、キャンベル・スコットが共演したグレッグ・モットーラ監督の第一級の低予算映画『デイトリッパー』(96・未)などの製作を手掛けた。
長年アメリカで仕事に取り組んできたが、97年にイギリスに戻り、ヘイデイ・フィルムを設立した。「ハリー・ポッター」全シリーズの制作に加え、同社は、アンジェリーナ・ジョリーとイーサン・ホークが主演した『テイキング・ライブス』(04)、TVシリーズ「メタモルフォーゼ」(03)など、さまざまな映画およびTV番組の制作に取り組み続けている。
現在は、マーク・ハーマン脚本/監督、デイビッド・シューリスおよびベラ・ファーミガ主演の『The Boy in the Striped Pyjamas』(08・公開予定)、フランシス・ローレンス監督、ウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド(原題)』(07・公開予定)を制作中である。年内に、『Harry Potter and the Half Blood Prince』(08・公開予定)の制作に加え、ジョン・クローリー監督、マイケル・ケイン主演の『Is There Anybody There?』を制作予定である。
その他、今年撮影予定の作品には、チャールズ・マクドゥガル監督の『Dogs of Babel』(09・公開予定)、ペイトン・リード監督の『Yes Man』、デイビッド・ゴイヤー監督の『Unique』などがある。さらに将来的なプロジェクトとして、マーク・ハッドンのベストセラー小説を題材に、スティーブ・クローブスが脚本/監督を務める『The Curious Incident of the Dog in the Night-time』、そしてアルフォンソ・キュアロンと共同製作に携わる『The History of Love』(09・公開予定)などがある。
03年にイギリス人プロデューサーとして初めて “プロデューサー・オブ・ザ・イヤー”を受賞した。
デイビッド・バロン(製作)
製作総指揮を務めた『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)と『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)に続き、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』にプロデューサーとして再び参加している。
25年以上、エンターテイメント業界で仕事をしてきた。コマーシャルでキャリアをスタートさせ、TVや映画の制作に進んだ。プロデューサーとしての仕事に加え、ロケーション・マネージャー、助監督、プロダクション・マネージャー、プロダクション・スーパーバイザーなど広範囲な仕事に携わり、『フランス軍中尉の女』(81)、『キリング・フィールド』(84)、『レボリューション・めぐり逢い』『レジェンド 光と闇の伝説』(共に85)、『プリンセス・ブライド・ストーリー』(87)、『The Lonely Passion of Judith Hearne』(87・未)、『チャック・ノリスinヘルバウンド 地獄のヒーロー5』(93)、『ミディアン』、そしてフランコ・ゼフィレッリ監督作『ハムレット』(共に90)などの作品で仕事をしている。
1991年、ジョージ・ルーカスの野心作「インディ・ジョーンズ 若き日の大冒険」TVシリーズの制作部長に指名された。これに続き、『クリスマス・キャロル』(92)を担当した。 93年にはケネス・ブラナー監督作『フランケンシュタイン』の制作チームに共同プロデューサーとユニットプロダクション・マネージャーとして参加した。この映画から、『世にも憂鬱なハムレットたち』(95)、『ハムレット』(96)、『恋の骨折り損』(99)を含めてブラナーとの共同製作が始まった。ブラナーがローレンス・フィッシュバーンと共演したオリバー・パーカー監督作『オセロ』(95)の製作も担当した。 99年春には、自身の会社コンテイジャス・フィルムズをイギリス人監督ポール・ウェイランドと立ち上げ、最近、2つ目の会社ランナウェイ・フリッジ・フィルムズを設立した。
マイケル・ゴールデンバーグ(脚本)
最近、J・M・バリーの子供向けの古典物語に基づいた実写映画『ピーター・パン』(03)の脚本を共同執筆した。それに先立ち、ジョディ・フォスターが主演した、カール・セーガンの小説に基づくロバート・ゼメキス監督のSFドラマ『コンタクト』(97) の脚本も担当した。初めて脚本と監督を担当した長編映画は、クリスチャン・スレーターとメアリー・スチュアート・マスターソンが主演したロマンティック・ドラマ『マンハッタン花物語』(95)である。
ジョン・トレイ (共同製作)
これまでの「ハリー・ポッター」シリーズ全作の会計監査役を務めている。加えて、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)では提携プロデューサー、そして『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では共同プロデューサーも担当した。 30年以上のキャリアを誇る、イギリスで最も尊敬を集める会計監査役のひとりである。会計監査役として携わった映画には、『愛は霧のかなたに』(88)や 『遠い夜明け』(87)などがある。
『アイズ ワイド シャット』(99)、『シティ・オブ・ジョイ』(92)、『スーパーマン III 電子の要塞』(83)、『エレファント・マン』(80)、『バリー・リンドン』(75)、『ライアンの娘』(70)など、多くの映画で製作会計士を務めてきた。
スワボミール・イジャック(撮影)
国際的に認められているカメラマンである。2002年にリドリー・スコット監督の戦争ドラマ『ブラックホーク・ダウン』で米英アカデミー賞を受賞。それ以前には、クシシュトフ・キエシロフスキー監督の『トリコロール 青の愛』(93)では脚本も務め、93年度ベネチアとポーランド映画祭の最優秀撮影賞を受賞し、フランスのセザール賞にノミネートされた。さらに、マイケル・ウィンターボトム監督の『アイ・ウォント・ユー』(98)での忘れられない映像で98年度ベルリン映画祭の賞を受賞した。
またアントワーン・フークア監督の『キング・アーサー』(04)、テイラー・ハックフォード監督の『プルーフ・オブ・ライフ』(00)、デボラ・ワーナー監督の『The Last September』(99・未)、キャサル・ブラック監督の『Love and Rage』(98・未)、アンドリュー・ニコル監督の『ガタカ』(97)、ジョン・セイルズ監督の『Men with Guns』(97)、ジョン・ダイガン監督の『監禁』(00・未)、『The Journey of August King』(95・未)、さらにクシシュトフ・キエシロフスキー監督の『ふたりのベロニカ』(91)、『殺人に関する短いフィルム』(87)を撮影、キエシロフスキーと最初に組んだのは『傷跡』(76)だった。
ポーランド出身で、80年代と90年代には11本の映画でクシシュトフ・ザヌーシ監督とチームを組み、最近の作品には『太陽の年』(84)、『悲愴』(88)がある。 映画の仕事の合間には、世界中のワークショップや映画学校で教鞭を執っている。
スチュアート・クレイグ(美術)
映画業界で最も名誉ある美術デザイナーのひとりである。米アカデミー賞を3度、英アカデミー賞を2度受賞しており、「ハリー・ポッター」シリーズすべてで美術デザイナーを務めている。『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)で米アカデミー賞にノミネートされ、一番最近では『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)で英アカデミー賞も受賞した。さらに、同シリーズのそれ以前の各作品で、英アカデミー賞にノミネートされている。
最初に米アカデミー賞を受賞したのはリチャード・アッテンボロー監督の有名な伝記映画『ガンジー』(82)である。続いてスティーブン・フリアーズ監督の芸術的な『危険な関係』(88)とアンソニー・ミンゲラ監督の『イングリッシュ・ペイシェント』(96)で米アカデミー賞を受賞した。また初めて英アカデミー賞を受賞したデイビッド・リンチ監督の『エレファント・マン』(80)、ローランド・ジョフィ監督の『ミッション』(86)そしてアッテンボロー監督の『チャーリー』(92)でも美術デザインで米アカデミー賞にノミネートされている。また上記映画すべてと共に、『グレイストーク‐類人猿の王者‐ターザンの伝説』(83)で英アカデミー賞にノミネートされたことでも知られている。 リチャード・アッテンボロー監督とは長年のつきあいであり、最初は『遠すぎた橋』(77)でアートディレクターを務めた。ふたりはクリエイティブなパートナーシップを組み、『ガンジー』『チャーリー』に加えて『遠い夜明け』(87)、『永遠(とわ)の愛に生きて』(93)、そして『ラブ・アンド・ウォー』(96)で美術デザイナーを務めた。
さらなる作品にはロバート・レッドフォード監督の『バガー・ヴァンスの伝説』(00)、ロジャー・ミッシェル監督の『ノッティングヒルの恋人』(99)、『アベンジャーズ』(98)、スティーブン・フリアーズ監督の『ジキル&ハイド』(96)、アグニエシュカ・ホランド監督の『秘密の花園』(93)、『メンフィス・ベル』(90)、『キャル』(84)がある。キャリアの初期には、リチャード・ドナー監督の『スーパーマン』(78)でアートディレクターを務めた。
マーク・デイ(編集)
デイビッド・イェーツ監督作品の編集を長い間担当し、賞を受賞している。昨年はイェーツ監督のTV映画「The Girl in the Cafe」の編集でエミー賞にノミネートされた。2005年にはイェーツ監督によるTV映画「Sex Traffic」で英アカデミー賞および王立テレビ協会賞で最優秀編集賞を受賞した。その前年にはイェーツと共同製作したミニシリーズ「State of Play」で英アカデミー賞を受賞し、王立テレビ協会賞にもノミネートされた。 イェーツ監督のプロジェクトにおける編集作業で、以前にはミニシリーズ「The Way We Live Now」で王立テレビ協会賞と英アカデミー賞にノミネートされ、TV映画「The Young Visitors」でも王立テレビ協会賞にノミネートされている。またミニシリーズ「The Sins」と短編映画「Rank」でもイェーツと手を組んでいる。
またその他の監督とも複数共同製作をしている。作品には、デイビッド・ブレア監督の『Mystics』(02・未)と、TV作品「Anna Karenina」「Split Second」「Donovan Quick」があり、ポール・グリーングラス監督の映画『ヴァージン・フライト』(98)とTV映画「The Fix」、そしてジョン・シュレシンジャー監督とのTV映画「The Tale of Sweeney Todd」「Cold Comfort Farm」「A Question of Attribution」などがある。 その他のTV作品にはジュリアン・ファリノ監督の「Fresh and Blood」、ポール・シード監督の「コナン・ドイルの事件簿 ドクター・ベルの推理教室」、リチャード・エアー監督の「Suddenly Last Summer」、そして英アカデミーテレビ賞にノミネートされたジャック・クレイトン監督の「Memento Mori」がある。
ニコラス・フーパー(音楽)
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)でデイビッド・イェーツ監督との長きにわたる関係をさらに伸ばした。イェーツ監督のTV映画「The Young Visitors」の音楽で英アカデミー賞の最優秀オリジナルスコア賞を受賞した。イェーツとの共同製作ではさらにTV映画「The Way We Live Now」「The Girl in the Cafe」、そして「State of Play」シリーズでも英アカデミー賞の最優秀オリジナルスコア賞にノミネートされている。イェーツとはさらに長編映画『The Tichborne Claimant』と短編映画『Punch』『Good Looks』でもチームを組んでいる。
一番最近ではフィリップ・マルタン監督、ヘレン・ミレン主演のTV映画「第一容疑者 - The Final Act」で英アカデミー賞最優秀オリジナルスコア賞を受賞。マルタンとはそれ以前にTV映画「Bloodlines」でも共に仕事をしている。さらに幅広い映画やTV作品、ドキュメンタリーでもスコアを書いている。最近の作品にはヘレナ・ボナム=カーター主演の映画『The Heart of Me』(02・未)、TV映画「The Best Man」「The Chatterley Affair」「My Family and Other Animals」「Messiah: The Promise」などがある。またドキュメンタリー映画『Land of the Tiger』(85)に、ナショナル・ジオグラフィック・シリーズ「Nature」の複数のエピソードでも音楽を担当している。
ティム・バーク(視覚効果監修)
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)で視覚効果を監修し、米英アカデミー賞視覚効果賞にノミネートされた。同作品は、視覚効果を主体とした映画における優れた視覚効果部門で視覚効果協会賞も受賞している。また、「ハリー・ポッター」シリーズでは、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)でも視覚効果監修を行っている。 映画視覚効果の分野で20年のキャリアを持つベテランで、リドリー・スコット監督の大作映画『グラディエーター』(00)では、視覚効果チームの一員として、米アカデミー賞視覚効果賞を受賞し、英アカデミー賞にノミネートされた。また、リドリー・スコット監督の『ブラックホーク・ダウン』『ハンニバル』(共に01)でも視覚効果を監修している。
また、『ROCK YOU! 〔ロック・ユー!〕』(01)で視覚効果監修を、『エネミー・オブ・アメリカ』(98)ではデジタル効果監修を担当した。その他、携わった作品には、『ベイブ 都会へ行く』『スティル・クレイジー』(共に98)、およびTV映画「Merlin」「The Mill on the Floss」などがある。
ジャニー・ティマイム(衣装)
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)に続き、シリーズ3作目の担当となる。 最近、衣装を担当した作品には、アルフォンソ・キュアロン監督、クライブ・オーウェン主演『トゥモロー・ワールド』(06)、アグニエシュカ・ホランド監督、エド・ハリス主演『敬愛なるベートーヴェン』(06)などがある。その他携わった作品には、ビーバン・キドロン監督、レニー・ゼルウィガー主演『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』(04)、ベルナー・ヘルツォーク監督、ティム・ロス主演『神に選ばれし無敵の男』(01)、英国インディペンデント映画賞にノミネートされた、メル・スミス監督、ミニー・ドライバー主演『High Heels and Low Lifes』(01・未)などがある。これより前に、マーク・エバンス監督の『House of America』(97・未)で 、英アカデミー賞最優秀衣装デザイン賞を受賞。また、米アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したマルレーン・ゴリス監督の『アントニア』(95)で、1995年ユトレヒト映画祭衣装部門ゴールデン・カーフ賞を受賞している。
現在、マーティン・マクドナー監督、レイフ・ファインズ、コリン・ファレル主演の『In Bruges』(08・公開予定)に携わっている。この他に携わった国際的な映画およびTV番組は、40作品以上に及ぶ。担当した映画には、トッド・コマーニキ監督の『Resistance』(03・未)、マルレーン・ゴリス監督の『愛のエチュード』、ポール・マクギガン監督の『ギャングスター・ナンバー1』(共に00)、エド・トーマス監督の『Rancid Aluminum』(00・未)、米アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したマイク・ファン・ディム監督の『キャラクター 孤独な人の肖像』(96)、ダニー・デプレ監督『The Ball』(99・未)、ジョルジュ・シュルイツァー監督の『The Commissioner』(98・未)、『クライムタイム』(96)、エイト・デ・ジョン監督の『All Men Are Mortal』、フランス・バイス監督の『The Last Call』(共に95・未)などがある。
ニック・ダドマン (クリーチャーとメイクアップ効果)
「ハリー・ポッター」シリーズ全5作のメイクアップ効果と幻想的なアニマトロニクスのクリーチャーたちを制作し、全作で英アカデミー賞にノミネートされた。
「スター・ウォーズ」シリーズの第2作目『スター・ウォ‐ズ 帝国の逆襲』(97)で、イギリスのメイクアップ・アーティストであるスチュアート・フリーボーンの下で訓練生としてジェダイマスターのヨーダを制作し、キャリアをスタートさせた。フリーボーンの下で4年間仕事をし、『スーパーマン II 冒険篇』(81)や『トップ・シークレット』(84)に携わったのち、リドリー・スコット監督作『レジェンド 光と闇の伝説』(85)のために作られたイギリスのメイクアップラボを任されることとなる。 それ以来、『モナリザ』『ラビリンス 魔王の迷宮』(共に86)、『ウィロー』(88)、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』『バットマン』(共に89)、『エイリアン3』(92)、そして『インタビュー・ウィズ・バンパイア』(94)など、多くの作品に携わってきた。
1995年、リュック・ベッソン監督作『フィフス・エレメント』(97)で55名のクリーチャー班を率い、そのキャリアはアニマトロニクスや大規模なクリーチャー効果へと広がっていった。それ以来、『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(99)、「ハムナプトラ」シリーズなどの作品で、さまざまな大作映画のクリーチャー/メイクアップ効果部門を率い、『バットマン ビギンズ』(05)の衣装効果の相談役などを務めた。最近では、アルフォンソ・キュアロン監督作『トゥモロー・ワールド』(06)でアニマトロニクスを制作した。07年、『Beowulf and Grendel』(未)のメイクアップで、カナダのアカデミー賞であるジェニー賞特別功労賞を受賞した。
加えて自身の会社ピッグズ・マイト・フライでシミにならない“血”を作って、販売している。
キャスト
ダニエル・ラドクリフ:ハリー・ポッター
ルパート・グリント:ロン・ウィーズリー
エマ・ワトソン:ハーマイオニー・グレンジャー
ヘレナ・ボナム=カーター:ベラトリックス・レストレンジ
ロビー・コルトレーン:ハグリッド
ウォーウィック・デイビス:フリットウィック
レイフ・ファインズ:ヴォルデモート
マイケル・ガンボン:アルバス・ダンブルドア
ブレンダン・グリーソン:マッド・アイ・ムーディ
リチャード・グリフィス:バーノン・ダーズリー
ジェイソン・アイザックス:ルシウス・マルフォイ
ゲイリー・オールドマン:シリウス・ブラック
アラン・リックマン:セブルス・スネイプ
フィオナ・ショウ:ペチュニア・ダーズリー
マギー・スミス:ミネルバ・マクゴナガル
イメルダ・スタウントン:ドローレス・アンブリッジ
デイビッド・シューリス:リーマス・ルーピン
エマ・トンプソン:シビル・トレローニー
ジュリー・ウォルターズ:モリー・ウィーズリー
ロバート・ハーディ:コーネリウス・ファッジ
デイビッド・ブラッドリー:アーガス・フィルチ
マーク・ウィリアムズ:アーサー・ウィーズリー
トム・フェルトン:ドラコ・マルフォイ
マシュー・ルイス:ネビル・ロングボトム
イバンナ・リンチ:ルーナ・ラブグッド
ケイティ・リューング:チョウ・チャン
ハリー・メリング:ダドリー・ダーズリー
スタッフ
デイビッド・イェーツ:監督
デイビッド・ヘイマン:製作
デイビッド・バロン:製作
マイケル・ゴールデンバーグ:脚本
ジョン・トレイ:共同製作
スワボミール・イジャック:撮影
スチュアート・クレイグ:美術
マーク・デイ:編集
ニコラス・フーパー:音楽
ティム・バーク:視覚効果監修
ジャニー・ティマイム:衣装
ニック・ダドマン:クリーチャーとメイクアップ効果
CAST
DANIEL RADCLIFFE :Harry Potter
RUPERT GRINT: Ron Weasley
EMMA WATSON:Hermione Granger
HELENA BONHAM CARTER: Bellatrix Lestrange
ROBBIE COLTRANE: Rubeus Hagrid
WARWICK DAVIS: Filius Flitwick
RALPH FIENNES : Voldemort
MICHAEL GAMBON:Albus Dumbledore
BRENDAN GLEESON:Mad-Eye Moody
RICHARD GRIFFITHS:Vernon Dursley
JASON ISAACS:Lucius Malfoy
GARY OLDMAN:Sirius Black
ALAN RICKMAN:Severus Snape
FIONA SHAW:Petunia Dursley
MAGGIE SMITH:Minerva McGonagall
IMELDA STAUNTON:Dolores Umbridge
DAVID THEWLIS:Remus Lupin
EMMA THOMPSON:Sybill Trelawney
JULIE WALTERS: Mrs. Weasley
ROBERT HARDY:Cornelius Fudge
DAVID BRADLEY: Argus Filch
MARK WILLIAMS :Arthur Weasley
TOM FELTON:Draco Malfoy
MATTHEW LEWIS:Neville Longbottom
EVANNA LYNCH:Luna Lovegood
KATIE LEUNG:Cho Chang
HARRY MELLING:Dudley Dursley
STAFF
DAVID YATES:Director
DAVID HEYMAN:Producer
DAVID BARRON:Producer
MICHAEL GOLDENBERG:Screenwriter
LIONEL WIGRAM:Executive Producer
SLAWOMIR IDZIAK:Director of Photography
STUART CRAIG:Production Designer
MARK DAY:Editor
NICHOLAS HOOPER:Composer
TIM BURKE:Visual Effects Supervisor
JANY TEMIME:Costume Designer
NICK DUDMAN:Creature & Make-Up Effects Designer
2007年アメリカ映画/2007年日本公開作品/原題HARRY POTTER AND THE ORDER OF THE PHOENIX/時間 2時間18分/8巻/3,781m/シネスコ/SR・SRD・DTS・SDDS/日本語字幕:戸田奈津子 吹き替え版:岸田恵子 (監修:松岡佑子)/オリジナルサントラ盤 ワーナーミュージック・ジャパン
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