彼ら3人の出現を待っていたとしか思えない完璧なキャスティング
チャーリー役に起用されたローガン・ラーマンを、チョボスキーは絶賛する。「僕ほどチャーリーをわかっている人間はいないと思っていたが、ローガンはそれ以上だった。彼の演技はとても繊細だ。不器用だが、同時にハンサムで、前向きでもある」。
ラーマンは小説の評判を知っていたが、脚本を受け取るまで読んだことはなかった。彼は即座にそして強烈に、物語とキャラクターたちに反応したと語る。「感情に圧倒されたんだ。人物たちがとてもリアルで面白い。何としてもこの映画にだけは参加したいと思った」。
サムを演じたエマ・ワトソンについて、チョボスキーはこう語る。「僕にとってサムは完璧な女の子だ。エマがこのキャラクターにとって、パーフェクトな俳優だとわかるのに5分もかからなかった。彼女にはどこか孤独なところがある。実はこれは、解放されたいと切望する彼女のための役なんだ」。
ワトソンは最初に脚本を読んだ時のことを振り返る。「読み終わった時、泣いていたわ。彼らに共感できないなんて、あり得ない」。ハーマイオニーを演じたワトソンは、愛される架空のキャラクターに命を吹き込むリスクを十分承知している。「困難から困難に真っ直ぐ飛び移ったような気がしたわ。ハーマイオニーと同じくらい、みんなサムのことが好きなの。私はただ、小説の素晴らしさを十分伝えられたことを願うばかりだわ」。
パトリックは機知に富み、全く型にはまらない、並外れた人間だ。「エズラ・ミラーを起用した理由は、一番クールで強いのが、このゲイの青年だからだ」とチョボスキーは語る。ミラーは「『ウォールフラワー』は、僕にすごい影響を与えてくれた小説だ。痛みに直面しても尊厳を忘れなければ、それが残りの人生を通して力を与えてくれると教えてくれた」と語る。
チョボスキーは常に、この映画の中の友情がスクリーン上で信じられるためには、実生活も同じでなければと感じていた。「全員に、熱く焼けるような青春を体感してもらうことが本当に大切なのだと伝えた。彼らは仲間意識をもち、友情を育んだ。それが映画にそのまま反映されている」
リアルなロケ撮影の背景を固めた、あの頃の音楽
主な撮影は、チョボスキーが育った、ピッツバーグ郊外のピーターズ・タウンシップ、ベセル・パーク、ドーモント、アッパー・セント・クレアなどで行われた。ミル・グローヴ高校のシーンは、ピーターズ・タウンシップ高校で撮影され、『ロッキー・ホラー・ショー』のシーンは、歴史的なドーモント・ハリウッド・シアターで撮影された。
自身の若かりし頃を再現したチョボスキーにとって最も意義深かったのは、映画のためにまとめたサウンドトラック。特に不可欠だったのは、ザ・スミスの「アスリープ」だ。音楽スーパーバイザーのアレクサンドラ・パットサヴァスも自分のアイデアを出し、チョボスキーにはなじみのない曲を勧めた。
「彼女はあの時代にとても情熱をもっていた。聴いたことがなかったけれど、これから死ぬまで愛せるような曲を紹介してくれた。僕にとってサウンドトラックは時代を反映するミックステープであり、トーンを決めるものなんだ。この映画の音楽を本当に誇りに感じているよ」とチョボスキーは胸を張る。
18年間温め続けたクライマックスシーンの撮影
最も重要なシーンは、3人がフォート・ピット・トンネルを通って、広大なピッツバーグの街のスカイラインを眺める橋へと車を走らせる場面。
このシークエンスを撮影するのは夢だったとチョボスキーは語る。「彼らがトンネルを飛ぶように疾走するイメージを、18年間思い描いていた。ついにそれを撮影できて、本当に最高の気分だった」。
ワトソンは最初、スタントで撮影することになっていたが、自分でやると決意し、チョボスキーを説き伏せた。彼女は、約100キロでトンネルを疾走するピックアップトラックの荷台の上で、ロープ1本を身体につないだだけの状態で立ち上がった。「両手をあげたら、気持ちが高ぶって泣き出してしまったわ。あれは間違いなく、私の人生で最高の瞬間の一つだったわ」とワトソンは振り返る。
ラーマンもまた自分でやることにこだわった。「トンネルを抜けると街の明かりが見えた。あんな経験はしたことがない。言葉では表現できないよ」。
小説と映画の両方に登場するこの“飛翔”のイメージが、観客の心に残ってほしいとチョボスキーは願う。「僕たちが完璧であることの証しなんだ。“無限”はこのあとの気持ちを表現する完璧な言葉だった。僕たちの人生は良くなるしかない。上昇するしかないんだ」。
クランクアップの前の日、経験豊富なベテランスタッフでさえ泣いていたとチョボウスキーは語る。「エズラは目を泣き腫らして大声をあげていた。僕たち全員が感動していた。僕が力の限り描いた小説を、最も誇り高く反映した作品、それがこの映画なんだ」。
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