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ウィムジック・アレイ（Whimsic Alley）は、米ロサンゼルスでハリー・ポッター関連商品を販売しているお店で、自称「高貴な魔法使いの買物天国」。杖や書籍、ネックレスをはじめ、セーターやローブなどの衣服、魔法使いに変身できるグッズなどを売っています。

店内には魔法界のショッピングモール、ダイアゴン横丁のようなお店が並んでおり、ホグワーツの大広間や、キングズ・クロス駅の9と4分の3番線に似たコーナーも作られ、クリスマス・ダンスパーティなど季節のイベントが開催されています（参加は有料）。

ワーナー・ブラザースはこうしたサービスや商品、さらには同ショップが計画しているファン向けの「魔法使いのクルーズ」（4泊のカリフォルニアクルーズ。今年11月に開催）などは、同社の商標や公式グッズのトレードドレス（商品のデザイン）を侵害していると判断。このような行為は「購入者の間で、混乱や間違い・ごまかしを引き起こす」と主張し、 ウィムジック・アレイのオーナーのスタンリー・ゴールディンさんに対し、ハリー・ポッターの商標を侵害している商品の販売差し止めと損害賠償金の支払いを求めて、ロサンゼルス連邦地裁に提訴しました。

裁判は来年1月に予定されています。

同ショップオーナーのゴールディンさんは2004年、サンタモニカに「ウィムジック・アレイ」をオープン。ハリウッドの映画セット・デザイナーを雇い、ダイアゴン横丁などの内装を造り上げ、ハリー・ポッターファン向けにグッズ販売をスタート。同年、ワーナー・ブラザースから今回と似た訴訟を起こされ、ハリポタに関連する物の陳列や混乱を招く類似品の販売を取りやめるということで合意しています。

しかし2006年にはコストコの月刊誌「Costco Connection magazine」にハリー・ポッターの格好をして登場（↓の写真）。「この商売をするならハリー・ポッターファンにアピール（するようなことを）したかった」と話し、2010年に現在の場所に移転してからも、ハリー・ポッターファンが非公式に集まる場所として注目されていました。

ゴールディンさんとワーナー・ブラザースは本訴訟に関するコメントを差し控えていますが、法律の専門家は「ワーナー・ブラザース・コンシューマー・プロダクツ（WBのグッズ部門）が、お金になる『ハリー・ポッター』を模倣者の手から守ろうとしても不思議ではない」とコメント。

知的所有権を専門にしているアレン・グロドスキー弁護士は「ゴールディンはラインぎりぎりに近づき、おそらく最後の一線を超えている。ウィムジック・アレイはワーナー・ブラザースにそんなに損害を与えるつもりはなかったのだろうが、彼を許してしまったら、誰もが同じことをしてしまう」と分析。ゴールディンさんとワーナーが和解に達する可能性もありますが、「ワーナー側は『以前も同じことをやって、今回も再び一線を越えている』と言うだろう。ワーナーが憤慨しているのも理解できる」と同情しています。

ワーナー・ブラザースが「ハリー・ポッター」映画8作で稼いだ興行収入は、全世界で77億ドル（約7490億円！）を超え、今後は『幻の動物とその生息地』をベースにしたスピンオフ映画の製作も控えています。

映画が公開されるたびに玩具や衣類などさまざまなグッズが新たに発売され（飛ぶように売れ）、コンサルタント会社社長のLutz Mullerさんは「映画1本あたりのグッズ収入は、1億ドル（約97億円）はあるだろう」と見ています。

ウィムジック・アレイはWBにとっては頭痛の種ですが、この店のファンもいるようで、そのうちの一人、ケイティ・ノックスさんは「もし法的な争いでお店が閉店することになったら、とても残念。ウィムジック・アレイはいじめられ、見せしめにされているのよ」とロサンゼルス・タイムズ紙に述べ、怒りを露わにしています。

なお、同ショップではハリー・ポッターだけでなく、「ドクター・フー」や人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローン（七王国戦記）」の非公認グッズも販売しています（汗）。

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